あとりえ絵日記
2007


6月の絵日記へ

May31

「徹子の部屋」はゲストが魅力的だと見ます。本日はおばかタレントでもたいくつ俳優でもないゲスト、なんだか普通の青年なので、おやっ?と思って見ていると、どうやら数学の先生。報道番組に良く登場するナントカ先生や教育評論家とも違う。静かに淡々と語られた話は実に深刻でした。
この宮元延春先生は、小学校2年生からずっといじめにあっていた。あるとき親に相談したら学校に話してくれたけど、それによって先生は解決を図ろうとしなかったので、言いつけたことでさらにいじめは加速された。それからは大人に訴えてもだめだということがわかり、一度は自殺も図ったが母親に発見され助かった。
いじめは中学校を卒業するまで続き、授業が苦痛で、中学を卒業する時に九九は2の段までしか言えず、漢字は自分の名前だけ、英語はbookしかわからず、成績はいつもオール1だった。
卒業して工務店で働いたが18歳の時両親とも死別。23歳の時に妻になる人と出会った。
二人でよくビデオ映画を見ていたが、アインシュタイン博士を扱った番組を見て、物理学に興味を持った。妻の薦めもあり、高校に行こうと思ったが、このままでは行けないと一念発起、小学3年生のドリルから勉強を始め、定時制高校に入学。さらに勉強し、名古屋大学理学部、大学院まで卒業し、母校の数学の先生になったと言うものでした。
こんなに打ちのめされた辛い子供時代を過ごしたのにグレたりせず見事に克服された、素晴らしい人がいることに深い感動を覚えました。母校で教鞭をとっていますが、教師という対場から子どもの気持ちを掬いとりたいが、いじめを発見することの難しさも語っておられました。
先生が体験を書いた『未来の君が待つ場所へ』講談社から1155円、『オール1の落ちこぼれ教師になる』角川書店から1365円。悩んでいる人や勇気をもらいたい人は読んでみたらと思います。



May30

久しぶりに千年池方面へ出かけました。近くに拠点となるような土地を探しに。
房総の不動産屋さんが2,3の土地を案内してくれましたが、気に入ったところは遠かったり、近いところは雰囲気がイマイチだったりで、そのうち良い出会いがあるのを気長に待つことに。。。
その周辺を何時間も歩きすっかりくたびれて、池には行かなかったけれど、気持ちの良い散歩でした。水を張った田んぼには稲が青々と育ち、周りの山を映して光り、白鷺やゴイサギが緑に映えていました。
駅前のおすし屋さんは必ず寄るので、いつも笑顔で迎えてくれます。ここのご主人は竹細工を趣味にしていて、行く度に新作が増えているのも楽しみです。今回は釣り人があり、長い竿を持つ腕に触ると竿がゆらゆら動くのが見所です。中でも枝に止まるトンボはご主人の十八番。風にゆらゆら揺れて、そのゆらゆら加減がなんともいい感じなのです。以前頂いたものが我が家の古いオルガンの上にゆらゆら揺れて、和み空間になっています。




May26
バイカウツギ

お絵かき掲示板を見て驚いた。最近見慣れないイラストがあったけど、イタズラという訳でもないのでそのままにして置いたところへ、英語圏からの書き込みが2日間だけで200件は下らない。心中は「ぎゃー!」。削除すれどもすれどもまだまだあるので疲れました。
全部削除してやれやれと遡ってみると、5月の頭に30件くらいあり、ネット社会の恐ろしさを感じました。それでなくても毎日のメールを開くたび多い時で100件くらい迷惑メールを削除しないとパソコンいじれなくて、うんざりしています。これ、なんとかならないですかね。
犯罪も増えましたね。ネットを介して人の脳の中にウイルスが入って行くんでしょうか。。便利になったのと引き換えに人と自然が蝕まれてしまい、幸せになるために発展したはずなのに、ふと気がつくと取り返しのつかないところまで来てしまったのかと暗然とした気持ちになります。

侵略による戦火は拡大しているし、一見平和に見える国は人心が侵食されているし、凶悪な事件が毎日のように起こり、理不尽な権力になすすべもない。こんな世の中なんとかしようという若者もいない。"正義感"なんて言葉は死語になってしまったのか。

虫とり、すなあそび

そんな日々にアトリエで子どもたちと接する時はほっとすると同時に、このこどもたちが幸せになるために私たちに出来ることは何かいつも考えます。
おしゃべりしながら絵を描いたり遊びながら工作したり、とりとめのない時間の中でゆっくりと心が育つのを見守っています。子どもや若い人たちにここで過ごした時間が豊かであったと心と体に刻めるよう努力しようと思います。あまりの微力さにすまない気持ちですが、芸術の力を信じたい。



May20

第1回新の会展

第2回芯の会展」に向けてミーティングをしました。メンバーのうち5名出席。広吉先生から芸術が冷遇されている状況を打破し、見直されるよう力を付けて行き、対外的にアピールしてゆく。また芸術が創りにくい状況を提案し創って行くことなどについて話があり、思いをひとつにした。
今後はそれぞれが主体の活動をする中で、「芯の会展」を継続的にやって行く決意を新たにした。先生は芸術活動が次の時代を担って欲しいと思いやってきた、と締めくくられた。第2回芯の会展は10月に決まった。今後、1年に一回のペースで展覧会をやってゆきますので皆さんよろしくお願いします。若い芸術をみんなで育てましょう。


May17

熟したキイチゴの実を口に含むとプチプチした食感はラズベリーのよう。さっぱりした甘味に加えて雨の味がする。雨の散歩も楽しい。
こんな日は人も少なくなだらかな起伏のひろびろとした丘をダンはのびのび走ります。最近はやたら犬を放し飼いにするなという大きい看板が立ち、犬を取り巻く環境も世知辛くなってきました。人間の管理社会の反映ですか。そんな訳で、人や犬が少ない時を見計らって走らせるようにしています。

朝の5時台はほとんど顔見知りなので、みんなダンに声を掛けてくれたり、おやつをくれたり、かえって繋いでいると「どうしたの」と心配してくれるほど。
お互い迷惑にならないよう譲り合ってうまくいっているのに、たまにうるさい人がいるんですね。犬同志を上手く付き合わせることが出来ない他的な人が。もちろん人付き合いも下手。ひどい言葉を投げて来たり、大声でわめきながら追いかけてきたり。
こういう人間こそ放し飼いにしないほうが良いと思うよ。

ハナとダン

May13

見る見る新緑がアトリエを覆い、ついに埋まってしまいました。みんなは緑を掻き分けながらやっとの思いでドアにたどり着いています。そんなアトリエに今日も一人のOBがやって来ました。笑顔のステキな佐藤君です。

昨年美大を卒業して就職2年目です。大学を卒業したった一人で社会に出たら、自分が小さな存在だってことが解かったって。学生のときは大学側が後押ししてくれるのもあって、自分の力を過信している。今は力のなさを実感しているのだとも。。。それは誰しもが感じること、失敗して鍛えられて一人前になってゆくんですよね。大学を出て、1,2年目くらいが一番きついかも。その時期をうまく乗り切ると少し先が見えてくるよ。

6月からは高島屋で店舗を作る仕事で頻繁に横浜に来るらしい。今度来た時に瀬戸内海のお土産「なおしま」飲もうね。



May8

庭の夏みかんの花が咲きました。清楚にして可憐、清々しい白さです。大好きな童謡のひとつに「みかんの花咲く丘」があります。
      みかんの花が咲いている
      思い出の丘 丘の道
      はるかに見える 青い海
      お船が遠くかすんでる

      黒い煙をはきながら
      お船はどこへ行くのでしょう
      波に揺られて 島のかげ
      汽笛がボウと鳴りました

      いつか来た丘 母さんと
      一緒に眺めた あの島よ
      今日もひとりで 見ていると
      やさしい母さん 思われる

昭和21年に大ヒットしたそうですが、今の時代、童謡が大ヒットするなんて考えられませんね。敗戦後の復興に明るい希望をこの歌に託したのでしょう。

はるかに青い海の見える丘から、汽笛をならして走り行く船を見ている少女の姿、明るい日差し、広々とした風景が目の前に広がります。なつかしさや寂しさ、情緒ゆたかな歌です。
「国家の品格」の著者、藤原正彦さんも童謡が日本人の心を取り戻すのに大切だと語っておられましたね。"童謡絵本の会"も前向きにゆきたいです。


May4

「ヨコスカ行こうか」例によって犬も歩けば式の気まぐれ外出。
なんでヨコスカ?という疑問はあまり持たないほうがいい。たいてい数年前に幕末の浦賀奉行の話を書いていた頃、調べもので博物館に来た時に歩いた街に三味線屋があった程度のものですから。。。
また博物館に行っては見たけど、幕末の資料などもあるけど、たいがいは猟師町だった当時の船具や黴臭い魚を入れる大きな籠、住居など地味な展示で入場者もほとんどなく、ぱっとしませんね。せっかくの連休、子供向けの展示にしてはどうだい?
休みの多い商店街を歩くと、件の三味線屋さんもありましたが、冷やかす勇気もなく、ショウウィンドウの根付や浄瑠璃の三味線などを見て歩いていると、車道をはさんで向こう側にでっかいカンバン。
左は「ベイリーフ インドレストラン」とご丁寧にカタカナと英語で書いてある。その右は「日本共産党県政市政事務所」と、これまたいかつい赤いでっかい字で書いてある。張り合ってるんでしょうか?更にその隣はなんと仏具店(休みでした)。すごい取り合わせに、「ヨコスカらしいな・・・」(?)

駅に戻って、反対側の繁華街に出てみる。街はアイスクリームとギャルで溢れかえっているので裏通りへ行くと、そこは当然のように飲み屋街。小さな間口の個性的なネーミングのバーやカラオケでひしめき合っている。と、ちょっと大きなピンクの壁に「ギルガメッシュ」のカンバン。しかも4つも!
さっそく広吉先生を立たせて写真を撮る。ここはどうやらキャバレーみたい。先生の頭の上のネオンサインになっているカンバンはタキシードとドレスのペアがダンスしているおしゃれな絵ですが、ピンクの「ギルガメッシュ」と「¥5000」のカンバンはねえ。
それからごたごたの飲み屋街を抜けて出たところは「諏訪神社」。小さいけど良い作りで由緒ありそうな可愛い神社。ちょうど職人さんが青竹で垣根を作っていました。

せっかくだからお参りをして帰りに鳥居を見ると、大正4年に作ったと書いてありました。神社を取り囲む石の列柱には歴代の寄進者の屋号や名前が彫ってあります。時代がかった名前が多いなあと見ていたら、ちょうど角の柱に「まからぬや洋品店」とありました。
うん、なんともユニーク。

May3


今年ムサビに入ったシュンスケ君が来ました。毎日満員のため遅延する中央線に愛想を尽かし一人暮らしを始めたとか。ムサビは小平市だけど立川市との境にあるので学校まで徒歩10分の立川市の公団住宅に入ったとか。2DKで家賃5万円は安い!
学校では製図やタイポグラフィの基礎をやっているそうで、友達も出来て楽しそう。早速メールの文字化け(?)や、パソコンの音が出なくなったんだけど・・・などとパソコン関係のトラブルを解決してもらう。 有難いオタスケマンなのです。広吉先生と久しぶりにゆっくり話し、勉強のヒントをもらって行きました。


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